開院から1年——「支える医療」を岡山で。はれのくに在宅クリニック杜の街のこれまでとこれから
はれのくに在宅クリニック杜の街は、2026年10月に開院1周年を迎えます。「新しいクリニックに任せて大丈夫だろうか」——開院当初、そんな戸惑いとともに最初のご相談をくださった方々に支えられての1年でした。この記事では、当院がどんな思いで生まれ、この1年をどう歩んできたのか、そして2年目に何を目指すのかをお伝えします。訪問診療の依頼を検討中のご家族、連携先を探しておられるケアマネジャーや退院支援のご担当者に、当院を知っていただくきっかけになれば幸いです。
2025年10月、杜の街に開院しました
はれのくに在宅クリニック杜の街は、2025年10月、岡山市北区下石井の「杜の街グレース 杜の街プラザ」に開院しました。外来診療は行わず、訪問診療に特化したクリニックです。医師がご自宅や施設に定期的にうかがい、通院が難しくなった方の療養生活を医療の面から支えます。
当院では、胃瘻や経腸栄養の管理、気管切開・人工呼吸器の管理といった、医療依存度の高い方への対応も大切にしてきました。運営するのは一般社団法人土屋雉翔会。全国で介護・福祉事業を展開する土屋グループの一員として、医療の側から「住み慣れた場所で暮らし続けたい」という願いを支えることが、当院の役割です。
「治す医療」から「支える医療」へ——院長・入江真大の歩み
当院の診療の根っこには、院長・入江真大の歩みがあります。岡山大学医学部を卒業後、呼吸器外科医として肺移植をはじめとする高度医療に携わってきました。病院の中で「病気を治す」医療の最前線にいた外科医が、なぜ在宅医療の道を選んだのか。
転機となったのは、慢性期病棟や、ハンセン病療養所である長島愛生園での勤務です。病気だけを見るのではなく、その人の暮らしや人生、社会との関係まで考える必要がある——そう実感する経験を重ね、「病気を治す」ことから「生活を支える」ことへと、医療者としての軸足を移していきました。この歩みの詳細は、院長自身が語ったコラム「開業志向ゼロの外科医が『組織で挑む』在宅医療を選んだ理由とは?」でご紹介しています。
この1年の歩み
開院からの1年は、診療体制を整えながら、地域とのつながりを一つずつ編んでいく時間でした。公開している活動の中から、いくつかをご紹介します。
メディアを通じた発信——「こもちゃんTV」出演
2026年4月には、院長がインターネット番組「こもちゃんTV」に出演し、「外科医から在宅医へ——医療と福祉をつなぐ挑戦」をテーマにお話ししました。在宅医療の現場で感じている課題や、医療と福祉の連携への思いを、広く一般の方に向けてお伝えする機会となりました(関連記事はこちら)。
「岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会」とともに
院長が代表を務める「岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会」は、2024年11月の発足イベントに600名が参加し、その後もALS(筋萎縮性側索硬化症)の在宅ケアをはじめ、さまざまなテーマで勉強会を重ねています。専門職だけでなく、ご本人・ご家族・地域の方々に開かれた場として、医療と福祉の垣根を超えるつながりづくりを続けてきました。クリニックとしての診療と、地域に開かれた活動。この両輪が、当院の1年目を形づくっています。
退院前カンファレンスから始まる在宅医療
当院が診療のなかで大切にしてきたことの一つが、病院からの退院に向けた「退院前カンファレンス」への参加です。入院先の主治医や病棟看護師、ご家族、ケアマネジャーと退院前に顔を合わせ、医療的ケアの引き継ぎ内容や、ご自宅で必要になる準備を一緒に確認します。医療依存度が高い方ほど、この事前のすり合わせが在宅生活のスタートを左右するからです。「退院してから考える」のではなく「退院する前からつながっておく」——この姿勢は、2年目も変わらず続けていきます。
チームの広がり
診療体制も、この1年で少しずつ厚みを増しました。2026年4月には耳鼻咽喉科・アレルギーを専門とする非常勤医師が加わるなど、多様な専門領域の医師とともに、訪問看護ステーションやケアマネジャーの皆さまと連携しながら、チームで患者さんの在宅生活を支える体制づくりを進めています(診療体制の詳細はこちら)。
2年目へ——より多くの「住み慣れた場所で暮らしたい」を支えるために
この1年、退院前カンファレンスの場で、ご自宅の療養の場で、たくさんの「家で暮らしたい」「家に帰してあげたい」という声に出会いました。その一つひとつが、当院の原点を確認させてくれるものでした。
2年目の当院が目指すのは、診療の質と体制をさらに高めながら、支えられる方と地域を広げていくことです。多職種との連携をより深め、医療だけでは解決できない暮らしの課題にも、介護・福祉・地域の力とともに向き合っていきます。医療依存度が高いために在宅をあきらめかけている方にこそ、「相談できる先がある」と知っていただけるよう、発信も続けてまいります。
在宅医療は、医師一人の力で成り立つものではありません。訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、リハビリ職、そして介護の現場で日々患者さんのそばにいる方々——多くの手が重なって、はじめて「家で暮らす」が続いていきます。当院はその輪の一員として、これからも岡山の在宅医療に貢献してまいります。
ご相談・お問い合わせ
退院後の在宅療養をご検討中のご家族、担当利用者さんの在宅医療についてご相談されたいケアマネジャーの皆さま、退院支援をご担当の病院関係者の皆さま。「まだ依頼を決めたわけではないけれど、話だけ聞いてみたい」という段階のご相談も歓迎しています。1年間の感謝とともに、2年目のはれのくに在宅クリニック杜の街を、どうぞよろしくお願いいたします。
※本記事は2026年9月時点の公開情報にもとづいて作成しています。
はれのくに在宅クリニック 杜の街
〒700-0907 岡山県岡山市北区下石井2-10-8 杜の街グレース 杜の街プラザ5F
TEL:086-236-7750(診療時間内)
お問い合わせフォーム:https://harenokuni-clinic.jp/contact/
はれのくに在宅クリニック杜の街では、訪問診療に関するご相談を受け付けています。
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